Column 11 アート・イベント
座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル
ここにしかない作品との「出会い」
「座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル」で上映されている作品の多くは、普段の生活ではめぐり合う可能性が極めて低いものばかり。そういった作品との「出会い」を楽しむことが出来る、大変貴重な映像イベントなのです。上映されている作品のジャンルは実に多彩で興味深いものばかり。タイトルを見るだけで、「一体どのような作品なのか?」と想像をかきたてられてしまいます。
今回、私が「出会った」作品は2つでした。その1つ目は「赤軍PFLP・世界戦争宣言」、2つめは「神宮希林わたしの神様」です。1つ目の「赤軍PFLP・世界戦争宣言」には、あの重信房子の若かりし頃に受けたインタビューが収録されており、実に見応えのある作品でした。
まさかあの人が!?高円寺に現れる多くの著名人
このイベントの魅力の一つに「超豪華なゲスト」が挙げられます。前年度のイベントでは、是枝裕和・谷川俊太郎といった、映像と言葉それぞれのジャンルを代表する人々がゲストとして登壇し、出品作品について語り合うフリートークイベントが開催されました。
本年度の「座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル」でも、作品にまつわる多くのゲストが登壇。華やかな時間を与えてくれました。私が観た作品の中では、『赤軍-PFLP・世界戦争宣言』に、作品に影響を受けたという井浦新氏が、『神宮希林 私の神様』には推薦者として是枝裕和監督が、そして出演者として樹木希林氏がゲストとして登壇。
井浦新氏は作品に対する熱い思いと共に、本作品の監督の一人であった故・若松孝二との思い出も語り、その熱い時間は、非常に貴重だったのではないでしょうか? 樹木希林氏は『神宮希林 私の神様』についてのエピソードや、自身のスタンス(俳優として、生き方など)を語られており、井浦新氏のトークとは打って変わって、和やかな雰囲気のトークイベントとなっていました。ゲストそれぞれの個性がはっきりと出ており、期待以上の内容だったのではないかと思います。
まだ見ぬ「文化」を知る
このイベントでは、ドキュメンタリー作品を鑑賞することはもちろん、各作品の関連する文化にも触れることができるのです。例えば、『赤軍-PFLP・世界戦争宣言』では赤軍や闘争に生きる人々に迫るとともに、イスラエルの人々の生活も垣間見えたのです。イスラエルのビールも受付付近で販売されており、食文化に触れる機会も。
また、お伊勢参りをする「樹木希林」を追った『神宮希林 私の神様』では、伊勢神宮の雰囲気はもちろん、その周辺の街並みや生活、「神様が神社に祀られること」に関する概念についても知ることができました。このように、ドキュメンタリー作品を通して多くの経験や知識を得ることができる「座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル」、ぜひ来年、足を運んでみてはいかがでしょうか?
■ 座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル
http://zkdf.net/
開催日時:2015年2月7日-11日
開催場所:座・高円寺
主催:座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル実行委員会
共催:(株)ドキュメンタリージャパン
提携:NPO法人 劇場創造ネットワーク/座・高円寺
後援:杉並区芸術文化振興基金助成事業
協力:いちまるよん、(株)neo P&T、パナソニックシステムソリューションズジャパン、(株)IMAGICA、共同映画、グループ現代、シグロ、テレコムスタッフ、若松プロダクション、東京国立近代美術館フィルムセンター、川崎市市民ミュージアム 濱崎好治、専修大学教授 土屋昌明、関西電力